高齢者住宅を建てる人

「これからの時代、高齢者が増えるから、一般賃貸物件よりも高齢者住宅の方がよい」

こんな話を最近、いろいろなところで聞ききます。
確かに、そうかもしれない。
でも、何だかこの理屈はしっくりこない。

私は実際、数人の高齢者住宅を建てたオーナーと会って感じるのですが、高齢者住宅はやはり一般賃貸物件とは違うものだと考えなければいけないと思うのです。

先日、土地活用として高齢者住宅を建設したオーナーさんにお会いしました。
都内の約400坪の土地活用として、さまざまな建物を検討した結果、有料老人ホームを建てることにした方です。
いくつか理由はありますが、やはりオーナー夫婦が経験した介護が大きかったと思います。
「自分達が介護を経験して大変だったから、こうした建物があるときっと介護する人も助かるだろうと思いました」
こう話すオーナーさんは、設計の段階から、自分の意見も伝えながら作り上げました。

最もこだわったのは、中庭でした。
「介護していたお父さんが最期は意識も朦朧としていることが多かったと思うのですが、家の庭を眺めるときは笑顔でした。寝たきりの方にとって、外の景色を眺めることは楽しみだったのでしょう。だから、当初まずは建物を作ってから外を考えるという運営会社さんの話に、納得できず、建物も外の庭も同時に考えて計画して下さいとお願いしました」
オーナーさんの話には、単なる利回りを重視した土地活用以上の価値を考える姿勢が感じられました。

利回りでいえば、共有スペースも必要ですし設備投資もかかり一般賃貸物件よりも建設コストが高くなりがちなため、一般賃貸物件よりも低くなるといわれる高齢者住宅。
本当に建てて、納得してやっていける人というのは、こうした信念を持っている人なのだろうと思います。