新築供給は悪か

「新築住宅は住まい手を幸せにするのか」
去る9月13日月曜日にパネラーとして参加した「ハ会」(http://hakai.jp/)というシンポジウムのテーマは「賃貸住宅」で、第一部ではこの質問について討論しました。

9人いたパネラーのうち7人はX。その中で私は、〇で回答しました。
なぜなら、取材している中で、住まい手が快適に生活できる住宅を作ろうと真剣に考えている家主が増えているからです。
個人の家主でも建築家と組み、一般の人を複数人集めてマーケティング会議を行うケースも出てきています。
これまでの「賃貸住宅だから、とりあえずある程度の生活レベルで住める建物でいい」という考えなら、新築供給はストップした方がよいですが、供給側、特に所有者である家主の意識が変わってきているなら、その思いを実現するための新築は大歓迎したいと思うのです。

さらに、既存建物の再生のみに頼ることに一つの疑問があります。
どれくらい既存建物で本当に住まい手が快適と感じる住宅に再生できる物件があるのでしょうか。
賃貸住宅の多くは単身者向けです。おそらく余っている住戸も圧倒的に単身者が多いでしょう。
そう考えると、部屋の広さが16㎡、17㎡のバブル時代に大量に供給された物件などは、いくらリノベーションしたところで、本当に入居者に快適な住空間を提供できるかどうかは疑問です。

もちろん、現状として賃貸住宅だけでも400万戸を超える空室があるのはわかっています。
だからこそ、既存建物を生かすことを考える必要性も理解しています。
リノベーションによって、驚くほどの魅力的な物件に再生することが可能なのも知っています。

それでも、「新築供給を悪」という考えを否定するのは、入居者目線で賃貸住宅を建てようと考えている家主が確実に増えてきている時代だからです。
賃貸住宅市場は一見成熟してきた市場としてとられられることが多いですが、その見方はそれこそ住まい手を無視した供給側の見方であり、本質的な部分でいえば、まだまだのびしろがある市場ではないでしょうか。

いずれにしても、「新築が悪」という意識がなかった私にとって、刺激的でしたし、いろいろ考えるよい機会を与えてくださった「ハ会」関係者の皆様に感謝します。