重要なのはノウハウか

私はかつてベンチャー向けの雑誌の編集を担当していました。
ちょうど2000年〜2002年ですから、マザーズ市場ができ、ITベンチャーバブルが起き、店頭公開がジャスダック市場となり、新興市場が活況だったときです。
当時多くの上場したベンチャー社長に取材で会いました。
彼らの共通点は、何か。
ニッチな市場や潜在的なニーズにビジネスチャンスを見いだし、具現化していった点です。
とはいえ、株式上場するまで事業を拡大するのは簡単ではありません。
皆、七転び八起き、試行錯誤を繰り返し、成長していったのです。
ノウハウを得たことが大きな理由ではないです。

ただ、今10年以上たち、当時株式上場まで果たした会社の創業者は、いま退任しているケースが少なくないです。
その理由はいろいろあると思いますが、年齢的な問題や体調不良などを除けば、時代の変化についていけなかったからではないかと私は考えています。
一度成功をつかんだからといって、それが永遠につづくかといえばそうではない、ということを改めて感じます。

ところで、賃貸住宅業界では、不動産投資熱がいまだ冷めやまないですね。
いまや本屋に行けば、不動産投資本の専用棚があるくらい認知されています。
「不動産投資で成功した」と主張する方たちの著書なども多く、それらの本にはノウハウが満載です。

ただ、この状況に危惧するのは「ノウハウ偏重」の傾向になりつつあるということです。
ノウハウは永遠ではありません。
また、ノウハウはないよりはあった方がいいですが、ノウハウさえ身につけたからといって、経営がうまく行くものでもありません。
ノウハウに頼らず、試行錯誤しながらビジネスモデルを作り上げ「株式上場」という成功をつかんだベンチャー経営者でさえ、永遠に「成功」という錦をバックにして経営者で居続けることは難しいのです。

不動産投資は「投資」と付きますが、いまや一度購入した不動産の値上がりがほとんど見込みめない日本では、もはや不動産投資ではありません。
不動産賃貸事業を始めるという気でないと、うまくいかないでしょう。
今後金利上昇が予想される中では、ますます借り入れが多い方達にとっては厳しい時代になってくることを考えればなおさらです。

従来の地主系家主はもちろんですが、不動産投資で家主になる方達も、そろそろ事業家としての意識を持つことを考えてはいかがでしょうか。