暑い名古屋で紡がれた優しい力士の思い出

名古屋市内に200室以上を所有する加藤鉦一オーナーは、20歳くらいのころ、工場勤務の傍ら、かき氷を近所の人に売って生活の足しにしていたことがある。ある日、大相撲名古屋場所開催で、実家近くのお寺を宿舎にしていた高砂部屋一門から注文が入った時のことを、よく覚えている。「体の大きな力士が一人で何人前も頼むものだから」汗だくになって作っても追いつかない。配達するころには、ほとんど溶けてしまっていたという。「それでも力士は怒ることなく、笑っていましたね」。夏になると、誰もが鷹おう揚ようだったあの時代を思い出す。